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【SDGs】身近な国際交流はじめませんか?三菱アジア子ども絵日記フェスタ(前編)

#SDGs #国立夜須高原青少年自然の家 #国際交流・異文化理解

新型コロナウイルスにより、海外に渡って行う国際交流などの直接的体験活動が減少していますが、
そんな状況の中でも、様々な方法で国際交流・異文化理解は可能です。

今回は、「三菱アジア子ども絵日記フェスタ」の皆さまの活動を紹介します。2回に分けてお届けする第1弾です!

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今回お話をお伺いするのは、「三菱アジア子ども絵日記フェスタ」に携わる、三菱広報委員会と日本ユネスコ協会連盟の皆様をはじめ、事務局の方に事業について教えて頂きました。


——まずは、三菱アジア子ども絵日記フェスタについて、どのような活動か教えてください。
 三菱広報委員会、アジア太平洋ユネスコ協会クラブ連盟、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟が、日本固有の文化である絵日記をアジアの子どもたちに描いてもらうことで、お互いの生活や文化への理解をより深めてもらおうと、1990年から始めた国際文化交流・ESD事業です。

——なぜ絵日記なんですか?
 日本には、日々の出来事や、そこで感じたことなどを絵と文章で表す「絵日記」と言う習慣があります。「絵日記」はその作者が毎日をどのように過ごし、何を感じたかを記した記録であるとともに、作者の優れた感性や豊かな人間性が表現される作品でもあります。アジアの子どもたちの絵日記からは、描かれた絵や文章を見ることにより、各地の文化や言語の多様性を感じることができ、異文化理解にも役立つと考えたため、絵日記を取り入れました。

——絵日記を通して、目指しているものを教えてください。
 当初は、国連の制定した「国際識字年」の「全ての人々が読み書きできる世界を」という趣旨に賛同し、アジアの子どもたちが絵日記を描いたり読んだりすることが識字教育に結びつくことを期待して「三菱IMPRESSION-GALLERLY アジア子どもアート・フェスティバル」としてスタートしました。
 その後、次代を担うアジアの子どもたちが絵日記を通じてお互いの文化を理解尊重し、共によい未来を築くことができるようにという期待も含めて、名称を「三菱アジア子ども絵日記フェスタ」に変更しました。
 現在は、識字がずいぶん進んだことから、グローバルに活躍できる人材の育成を視野に入れています。前々回から「ESD(持続可能な開発のための教育)」を事業主旨に加え、より国際交流に重点を置いた活動を続けています。

○ 多様化するコミュニケーションスキルを育てる
・・・絵日記を通じて「描く」こと。「書く」こと、「伝える」ことを学ぶ
○ 異なる国や地域に伝わる文化の相互理解
・・・未来に向けてより良い世界をつくるための基礎となる国際理解の促進
○ ESD(Education for Sustainable Development/持続可能な開発のための教育)
・・・「絵日記」への取り組みをESDのツールの一つとして、持続可能な社会づくりの担い手を育む

——絵日記フェスタさんが行なっている取り組みを教えてください。
 グローバルに活躍できる人材の育成も視野に入れた活動を行なっています。ESDについても、ユネスコの皆さんのご支援のもと力を入れていきたいと思っております。
 活動の大きな柱としては4つあります。

(1) 絵日記の募集
アジア24の国や地域に暮らす6歳から12歳の子どもたちから、募集を行っております。
各国内で、事務局を設けていただいています。(各国の教育省やユネスコ国内委員会など)
作品の募集については、アジア24の国・地域から募集をしており、国内では、6月1日から翌年1月21日までとかなり広く募集期間があります。夏休みや冬休みなど日本の中でもいろんな行事や出来事があるので、限られた生活の内容が描かれるわけではなく、長い期間でいろいろな体験をした子どもたちの声が聞けるように長めに設定しています。
作品の募集テーマは、「伝えたいな、私の生活」としており、特別な行事だけを書くわけではなく、皆さんの生活の中で感じたことや思ったこと、行った旅行先の話やお手伝いの話など子どもたちが伝えたいと思ったことを描いていただける様に広くテーマを決めさせていただいています。
絵日記なので、絵だけでもない、文章だけでもない、またいろんな視点から審査をいただけるように、国際選考委員会を構成しています。

三菱アジア子こども絵日記フェスタ選考委員の紹介

(2) 国際交流プログラム
集めた作品の中から各国で優秀作品を選び、各国・地域のグランプリ受賞者を日本にご招待して交流の場を設けています。
前回はコロナウイルスの影響で実施ができませんでしたが、各国から集まって頂き、表彰を集まっていただいたお子さんと一緒に行い、地元の小学校との交流プログラムを用意しています。また、共同作品として入賞された子どもたちがコミュニケーションを取りながら一つの作品を作っていく時間も作っています。

(3) 絵日記展の開催、レプリカパネルの貸し出し
ぜひ皆さんに広くご覧になって頂きたいと思っており、レプリカパネルを制作し、学校や公共施設などに無料で貸し出しをしています。(送料・保険料についても無料)
会場の大きさなどに応じて様々なパネルを制作しています。
生活とSDGsが繋がっているという事を感じてもらうべく今期初めてSDGsに関するパネルを制作しました。
例えば、貧困をなくそう。フィリピンにいる若いお母さんが、いつもお子さんを背負っているけど私は手助けをどうやってしてあげたらいいのだろう。と書いています。決してSDGsに結びつけようと書いたわけではないが、やはり生活の中にそういうゴールにつながる何かきっかけがあるということをお伝えできればいいと思っています。
日本にいるとなかなか感じられない直接的なことが見えなかったりするが、海外では直接的にそういう出来事があったりすることも、意外と描かれています。日本の子どもは楽しかった思い出を描きがちだが、意外と海外の子どもは、悲しかったことや怖かったことを描いていることが違いとして興味深いと思います。そういうところから異国の風を感じつつ、学びに繋がるといいなと制作しました。

詳しくは絵日記作品レプリカパネル貸し出しのご案内PDFをご確認ください。

(4) 絵日記集
絵日記集を制作し、全国の全小学校と図書館へ寄贈しています。
日・英と2カ国語で全て網羅しているため、英語教育等でもお役に立てていただければ幸いです。

 また、ESDの活動の一環として絵日記作品や絵日記集を理由した学校訪問授業を行っています。
基本的には訪問で実施をさせていただいているが、一部はリモート授業として実施をしています。

——作品集を見ましたが、日本の子は楽しかった思い出が多いが、外国の子どもたちは生活そのもののことを多く書いておりますが、例えば、“畑仕事をしている”、“雨の中を遊んだ”などその国の文化や宗教的なものを描いている国もありますね。
生活に根付いている作品がたくさんあります。井戸で水を汲みに行った話など日本にはない話もあり面白いです。海外の子どもたちの作品でも、日本の子どもたちのように、「兄弟喧嘩した」「お母さんは僕だけゲームしていること怒る」など、読んでいても大人も楽しめます。しかし、なかなか日本の子どもたちは描けないですよね。


この後、ESDについての取り組みや、思い出エピソードなどをお伺いしました。
後編もぜひご覧ください。

【SDGs】身近な国際交流はじめませんか?三菱アジア子ども絵日記フェスタ(後編)

また、家庭教育新聞の記事に、各学校での取り組みや、教科と関連づけた活動などをまとめた特集記事もありますので、あわせてご覧ください。

家庭教育新聞掲載記事はこちら(2012年の記事)

== 三菱アジア子ども絵日記フェスタ ==
6歳から12歳の子ども(応募時点)を対象に募集。
テーマは、「伝えたいな、私の生活」。応募者全員に「オリジナルクリアファイル」を贈呈。

(お問い合わせ) 三菱アジア子ども絵日記フェスタ事務局
TEL:03−5777−6825
H P:https://enikki.mitsubishi.or.jp/

HPはこちら

今回の執筆者
国立夜須高原青少年自然の家 事業推進係 畔柳達弥
民間企業等との連携や、国民運動等の普及啓発活動を行っています。

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